笠岡諸島アートブリッジ2023「島の色と白石踊のライブラリー」開催in白石島 9月16日〜10月8日

令和5年度芸術文化振興基金助成:多分野共同等芸術創造活動

外側から被写体を処理するのではなく、存在そのものに対して、一個の存在として直接対面する。

写真家:ダイアン・アーバス(1923−1971)

風光明媚な笠岡諸島。少子高齢化などの課題がある一方で、島ごとに脈々と続く伝統があります。人間は本来、目に見える世界だけに生きているのではなく、自然や先祖に守られて生きている。島はそれを身体で感じることができる空間です。宮本常一が「忘れられた日本人」のなかで取り上げていた、島の暮らし、循環型社会を継続してきた島は、創造性を生むための場所としての機能も、今後大いに期待されています。

今年、参加するアーティストにとって印象に残る場所で、島の人の協力のもと、ダンスミュージックビデオの制作をしていきます。自生する植物の色や伝承されてきた白石踊が、アートの視座で新たな景色をつくっていきます。そう、島は、近未来社会!

●開催場所/期日   岡山県笠岡市白石島  松浦邸 /2023年

9月16日〜10月8日:常設展示:松浦邸9:30~16:00

9月24日(日):アーティストトーク&上映会 映像作品「踊百景白石」(13:30〜15:00)13:00開場

観覧無料

●参加アーティスト

岩本象一(音楽)

カタタチサト(ダンス)

羽山まり子(植物染色による衣装、インスタレーション)

吉川寿人(映像)

◆白石島

白い花崗岩が点在する白石島は、江戸時代には沿岸航路の中継地として栄え、漁業や砕石、綿栽培も盛んで各家には機織り機がありました。元禄4年(1691)、長崎オランダ商館のドイツ人医師ケンペルは、江戸へ行く途中に白石島を訪れ「白石港は比類無きほどの投錨地(船の停泊地)。この小さき島には北に向かって開いている細長い港があり、その近くに開墾された心地よい谷がこの港特有の地形をなしている。」と、白石港が潮まち、風まちの良港であったと記しています。江戸時代には、備後福山藩水野家の領地であり、開龍寺はその祈願寺としても栄えました。最奥には、「大師堂」があり多くの巡拝者で賑わってきました。鎧岩に続く高台には、タイのワットパプナム寺院との交流により建立された「仏舎利塔」があります。

◆白石踊

白石島に古くから伝わる盆踊り・回向(えこう)踊りで国指定重要無形文化財です。令和4年11月30日にユネスコ無形文化遺産に「風流踊」の一つとして登録されました。 一つの口説き(音頭)に合わせて何種類もの踊りが一斉に舞われるという特徴があり、男踊・女踊・娘踊(月見踊)・笠踊・奴踊・扇踊・二ツ拍子・大師踊・阿亀(おかめ)踊・梵天(ぼんてん)踊・ブラブラ踊・鉄砲踊・真影(まかげ)踊など、都合13種類の踊りが伝わっています。それぞれ衣装や所作が異なった踊りが、一つのリズムに溶け込んで調和を生み出すさまは、動的かつ優雅で「一幅の絵巻物」とも表現されます。 踊の起源は、源平水島合戦の戦死者の霊を弔うために始まったと言い伝えられていますが、音頭は多数あり、20余種の唄が伝わっています。代表的なものに、「那須与一」「石童丸(いしどうまる)」「丹波与作」「賽の河原」「山田の露」などがあります。戦さや疫病など災いを祓い安寧な暮らしを願った、島で「生きる薬」としての芸能です。 それぞれの踊りは、島民が島で育って行くにつれ、年齢に応じて伝承されています。 先祖供養の年中行事として、早魃の年に行う雨乞い・雨喜びの感謝踊りとして、また、観光客のために文化伝承として踊ったり、島外へ招かれて公演したり。 現在でも盆踊りとしての白石踊は、新暦の8月13日~16日の夜に行われます。かつては島民の大きな娯楽の場であり、老若男女が夜を徹して踊ったといいます。 島に行きた人の時間そのものが白石踊とも言えます。 島では「白石踊会」を結成し、踊りの保存伝承に努めています。また、白石踊会笠岡支部による、定期練習会も行われています。白石島で暮らす人たちが激減している今は、島出身者や、踊りが好きな人たちも加わり継承されています。 

◆松浦邸

泊まりやの屋号が残る小見山庄屋の嘉惣次邸として、島を訪れる賓客の宿舎としても利用されました。 「伊能忠敬測量日記」によると、文化3年正月23日(1806年3月12日)北木島の測量を途中に、1番隊と3番隊が午後4時すぎに白石島に到着。2番隊は大飛島・小飛島の測量をすませ、夕方白石島に到着したと。庄屋の嘉惣次宅に宿をとり、たいそう立派な家だったと記しています。邸横にある巨石には不動明王像が刻まれており、「波切不動明王」と呼ばれています。 

●実施体制

主催:NPO法人ハートアートリンク / 後援:笠岡市、一般社団法人笠岡市観光協会

協力:白石踊会、白石島公民館

企画:NPO法人ハートアートリンク

お問い合わせ:NPO法人ハートアートリンク       

Tel/090-5698-4933  ホームページhttp://heartartlink.org