まちのすきまカフェ2019

まちのすきまカフェ2019 ~黙水さんと寒風陶芸会館であそぶ~

混沌とするまちの多様性の深層部(すきま)にアーティストと挑む「まちのすきまカフェ」。

今年度は、瀬戸内市牛窓町の寒風陶芸会館が舞台。 ワンピース風のユニークな服を着て、草の根を分けるように寒風の山の中を丹念に歩き発掘した黙水。彼が発見した「寒風古窯跡群」は、古墳時代から平安時代にかけて須恵器の一大産地のひとつである。彼は農業の傍ら俳句や短歌に熱中し、住まいの鶏舎には、天井から相当な数の須恵器の破片が吊るされていたという。「苦寙亦至宝」歪み、割れたものもまた宝という、恩師・赤枝梅軒の言葉を自分の生き方に準えて、淡々と生きた黙水の実直な生き方に出会ったアーティストたちが、秋の1日を黙水さんとあそんだ。

13時~ 陶芸体験、近隣の備前焼作家のアトリエ訪問

15時~ 紙芝居、黙水さんの好きだった「乳ボーロ」釣り

16時~17時 臼井洋輔(備前市立備前焼ミュージアム館長)&武久顕也(瀬戸内市長)

19時~20時 ライブパフォーマンス ダンス・音楽・映像  「Walk alone like a Rhinoceros」(カタタチサト、岩本象一、吉川寿人)

カフェ:ぼうろカフェ:オリジナルぼうろ作りのワークショップと企画限定のぼうろとドリンクを提供(杉本克敬)

 

牛窓町の本庄地区のコミュニティ協議会の協力もあり、子どもから近隣の高齢者まで、多くの方にお越しいただくことができました。

会場の寒風陶芸会館で、夜の初めてのイベントとして、古窯跡群でのダンスパフォーマンスや映像上映を開催することで、この地にある魅力と可能性の発信について、1日のイベントの中で、参加者相互に話すことができていました。

臼井氏と市長のトークの中で、参加者たちも須恵器の魅力と、陶芸会館の活用について積極的に意見を述べていました。また近隣の備前焼作家のアトリエも公開し、作品のみならず作家の魅力も伝えることができました。

黙水さんを知る人のドキュメント映像、彼が好きだったぼうろ菓子のワークショップと提供により、より身近に黙水さんを感じることができました。

黙水さんの風貌と生き方は「ちょっと変わった人」だったのかもしれないが、彼のこだわりと情熱を支えたこの地域の寛容な力があったからこそ、古窯跡群の発見と陶芸会館の今があるのだと改めて思います。

 

焼き物を生む埴土の大地で、発掘された土器の破片を見ながら、須恵器の魅力、地域の今、寒風の未来等々、文化の視点から時空を超えて語り合うことができました。本来アートは、多様性や多元性を取り入れながら人々を感動とともに思いがけず出会わせ対話へとつないでいくものと捉え、岡山の文化力を発信していきたいと考えています。