まちのすきまカフェ2016

玉野市西部の沿岸部に位置する向日比地区明神鼻。この突端には名称の由来となる「お菊明神」が祀られている。祠の前では、現在もお菊のために地踊りがお盆の朝に奉納されている。アクセスが悪く、地元住民でさえも訪れることないこの岬は「まちのすきま」となっていた。花鳥風月。月を眺め、月光の指す海を見つめ、音楽とともに人と語らい、食を楽しむ。このひと時は、土地と人、人と人、日常と自然など様々なものとつなぐ豊かな時間となった。

  • 昼の部:11:00~14:30 参加者50名

・菊芋収穫体験(明神鼻の小屋実行委員会) 菊芋汁振る舞い(杉本克敬)

・打楽器演奏家 岩本象一 音楽WS 「明神鼻の音作り」

  • 夜の部:18:00~20:00 参加者80名

・お月見Café 菊のフレーバーティーと月見クッキー振る舞い(杉本克敬)

・「月影のお菊」(たまのしおさい狂言会)

・岩本象一 ライブ  ・地踊り(お菊明神盆踊り保存会)

・明神鼻の小屋の活動記録映像プロジェクション、灯篭と行灯の空間(美術家清水直人)

地元住民のほとんどが知る「お菊の伝説」の祠の前で地踊りがお盆に奉納されているが、保存会のメンバーも高齢化が進んでいる。周辺の人々の生活は漁業や塩田など海と深い関係を持ち、沖に浮かぶ大槌島は信仰や大蛇伝説などが残っている。塩田跡地の住宅化や交通インフラの整備などにより景観は様変わりしたが、今回のイベントを通し地域の文化力を見直す契機となった。地踊りには自然に観客が加わり、天候にも恵まれ踊りが佳境に達したころに月が昇ってきた。玉野の文化団体や、明神鼻の小屋実行委員会のメンバー、そして食とすきまをキーワードに入っていった他者のかかわりから予期せぬ大勢の来場があったと考える。