日常生活において、その存在を忘れかけている”すきま”にスポットを当てることで
物理的空間の存在にとどまらず、潜在化している機能や視点、記憶などを掘り起こし、
まちにおける存在意義やまちそのものを再定義しようと、天神山文化プラザのピロティから中庭を舞台に、半透明なハウスを設置した。遮光シートを貼ったアクリル板の効果で、ハウスはそこにあるのに無いかのような視覚的錯覚を生み出した。中に入り、社会から存在を消しつつ、中から外(社会)を俯瞰できる、人工的な”すきま”を作り出した。内側には、カフェをしつらえ、前に入った人が書いたメッセージカードを見ながら、お茶を楽しめた。
この企画は、2012年の県文祭「天神MAM」で出会った、アーティスト・建築家・カフェ主宰者らが、継続的に岡山市内の中心部で、新たなまちの価値を探るべく起きた。今回は、会期は3日間だったが、来場者は、途絶えることが無かった。このすきまカフェでは、時間を区切って入れ替え制にしたため、会場に来られた人との待ち時間の会話の中から、天神山の庭園内の隙間に限らず、それぞれが気付かない場所、都市の持つ潜在的な魅力や可能性を再発見することの面白さを共有することが出来た。当初の目的に沿って、訪れる人や街の人たちとの対話や場所を開いていくプロセスを重視しできたが、その過程や出会った人たちとの対話などを公開していくツール、継続性があれば尚良いと考えている。